分割呈示探索とは?
- 分割呈示探索とは,探索刺激を時間的に2回に分けて呈示する視覚探索課題のことです(Watson & Humphreys, 1997)。この課題は,新しく出現した対象に注意がどのように誘導されるかを調べるために開発されました。
- 大きく分けて2つの立場があり,「新しい対象に自動的に注意が誘導される」という立場(Donk & Theeuwes, 2001)と,「先行呈示された対象への注意が能動的に抑制され,その結果として新しい対象に注意が誘導される」という立場(Watson & Humphreys, 1997)で論争が行われてきました。
- この課題は,分割呈示条件と,2つのベースライン条件(全刺激条件と半数刺激条件)で構成されています。分割呈示条件では半数のディストラクタが先に呈示され,後から残り半数とターゲットが追加呈示されます。この時,先に呈示されたディストラクタは探索から除外され,後から出現した中から探索が行われます(先見効果)。
- 先に呈示されたディストラクタが探索から除外されているかを検討するために全刺激条件と半数刺激条件の2つのベースライン条件との比較が行われます。
この現象(課題)について詳しくは以下のサイト・論文をご確認ください。
- Donk, M., & Theeuwes, J. (2001). Visual marking beside the mark: Prioritizing selection by abrupt onsets. Perception & Psychophysics, 63(5), 891-900.
- 熊田孝恒. (2003). 視覚探索. 心理学評論, 46(3), 426-443.
- 大杉尚之. (2019). 分割呈示探索における視覚的印付け. 認知科学, 26(2), 254-271.
- Watson, D. G., & Humphreys, G. W. (1997). Visual marking: prioritizing selection for new objects by top-down attentional inhibition of old objects. Psychological review, 104(1), 90.
説明
視覚探索実験(HとUの探索)
この実験では,たくさんのアルファベットの中から「H」か「U」を探してください。「H」があった場合には「Fキー」を,「U」があった場合には「Jキー」を押してください。出来るだけ早く正確に反応してください。
分割呈示条件ブロック
この条件では先に半数のアルファベットが呈示され,後から残り半数が追加されます。「H」か『U』は後から追加されますので,後から追加された中から探してください。「H」があった場合には「Fキー」を,「U」があった場合には「Jキー」を押してください。
同時呈示条件(全刺激呈示)ブロック
この条件では全てのアルファベットが同時に呈示されます。「H」があった場合には「Fキー」を,「U」があった場合には「Jキー」を押してください。