注意手がかりと無視手がかりとは?
- 視覚探索において,ターゲットと共通の属性を持った項目のみに探索対象を限定することによって探索が効率的になることが知られている。このような探索は「部分探索(Egeth, Virzi & Garbart, 1984; Kaptain, Theeuwes & van der Heijden, 1995)」と呼ばれている。
- 部分探索は,ターゲットと共通の属性が事前に教示または手がかりとして与えられ(注意手がかり),その特徴に注目することによって起こるが,逆に,ターゲットと無関係の属性(無視手がかり)が事前に手がかりとして与えられることでも部分探索が生起することが報告されている(Arita, Carlisle, & Woodman, 2012)。
- 手がかりが教示されない統制条件に比べて,注意手がかりまたは無視手がかりが呈示された条件では探索時間が短くなる。ただし無視手がかりは注意手がかりに比べて効果が頑健ではなく,無視する構えを形成するためには時間がかかるまたは訓練が必要である可能性 (Tanda & Kawahara, 2019; Cunningham & Egeth, 2016),無視すべき対象に一旦注意が向けられてから抑制が生じる可能性などが指摘されている(Moher & Egeth, 2012)。
この現象(課題)について詳しくは以下のサイト・論文をご確認ください。
- Arita, J. T., Carlisle, N. B., & Woodman, G. F. (2012). Templates for rejection: configuring attention to ignore task-irrelevant features. Journal of experimental psychology: human perception and performance, 38(3), 580.
- Tanda, T., & Kawahara, J. I. (2019). Association between cue lead time and template-for-rejection effect. Attention, Perception, & Psychophysics, 81, 1880-1889.
- Cunningham, C. A., & Egeth, H. E. (2016). Taming the white bear: Initial costs and eventual benefits of distractor inhibition. Psychological science, 27(4), 476-485.
- Moher, J., & Egeth, H. E. (2012). The ignoring paradox: Cueing distractor features leads first to selection, then to inhibition of to-be-ignored items. Attention, Perception, & Psychophysics, 74, 1590-1605.
説明
注意手がかり
Positive template 課題
この実験では,「上下のいずれかに切れ目のある円」から「左右のいずれかに切れ目のある円(ターゲット)」を探してください。ターゲットの切れ目が左側にある場合は「Fキー」を,右側にある場合は「Jキー」を押してください。出来るだけ早く正確に答えてください。
この実験では,各試行の最初に「**」または「注意」と表示されて画面が停止します。「注意」と表示されている場合は,その次に呈示される色の図形に注意し,それの色の図形を探すことで早くターゲットを見つけることができます。「**」と表示されている場合は,その次に呈示される色の図形は画面に呈示されません。
独立変数
- 反応(resp)(left,right)
- ターゲット色(tcolor),ディストラクター色(dcolor),無関係色(ncolor)
- 手がかりタイプ(positive, neutral)